商品説明
偏光板・位相差板 入門
~偏光板・位相差板とお友達になろう~
◆偏光板・位相差板の基礎・原理から工業的な技術まで解説した初めての入門書◆
◆初学者の方から、これから光学フィルム分野に従事される方、基礎の再確認に◆
●光の性質、偏光とはなにか?偏光板・位相差板の仕組みとは
●偏光板・位相差板にはどのような基本性能が求められるか、それを支える技術とは
●偏光板・位相差板はどのようにして製造されるか
●PVA・TAC・PETフィルム、粘着剤など、偏光板・位相差板を構成する材料
●さまざまな偏光板・位相差板の種類と特徴、機能化のための要素技術
●LCDをはじめとする各用途における偏光板・位相差板の役割、進化の過程 ....などなど
ディスプレイの進化に合わせた機能フィルム開発に向けて、必要な基礎知識を学ぶことができます。
発刊日 2019年4月23日
<書籍趣旨>
「偏光板って何ですか?」と聞かれたら,「一方向に振動する光(偏光といいます) を作り出すフィルムです」と答えることができます。このことをよく理解するためには,偏光に対して普通の光(自然光といいます)のことを理解する必要があるでしょう。以前には,「狭い格子の隙間を通過すると偏光になる」との説明がありましたが, これは正しくありません。そのために第1章では,光に関するいろいろな疑問に対してわかりやすく説明します。光や偏光のことを理解した上で偏光板について考えてみます。
第2章と第3章では,偏光板の仕組みからその作り方,理想の偏光板に至るまでやさしく説明します。偏光板と一緒に使用すると便利なものに位相差板があります。第4章では,この位相差板についてわかりやすく説明します。
第5章では,偏光や偏光板が何に利用されるのか,生活の中で考えてみたいと思います。中でも最大の用途は,液晶テレビや携帯情報端末に利用される液晶表示装置 (LCD)でしょう。LCD用の偏光板を目指して偏光板がどのように発展してきたのか考えたいと思います。
最後に応用編として第6章では,液晶表示装置をより良くするために,偏光板と位相差板以外に必要なものは何か,どんな材料が使われているのか考えてみたいと思います。
本書は,これから新しく偏光板や液晶表示装置(LCD)関連の産業分野に従事する 方々を主な対象に,また経験の浅い方々にも理解していただけることを念頭に書いたものです。これらを通して,少しでも偏光板に親しみを持っていただくことができたら幸いです。< 「はじめに」より >
発刊にあたって
岡田 豊和 氏 技術コンサルタント
(元・住友化学(株)/JSR(株)、現(株)矢野経済研究所 客員研究員)
【著者紹介】
1974年4月~1975年12月 住友化学工業(株)入社,合成紙の開発研究に従事
1976年1月~1983年9月 分離膜(特に逆浸透膜)の開発研究に従事
1983年10月~2007年6月 光学機能性フィルム(偏光板,位相差板など)の開発研究、技術・マーケティング企画
品質管理(本社部門)、中国赴任、品質保証・管理(愛媛工場)業務に従事
2007年6月 住友化学(株)退職
2007年8月 JSR(株)(四日市工場)入社 精密加工事業の開発・技術・ 製造業務に従事
2010年3月 JSR(株)退職
以後,技術コンサルタントをしながら現在に至る。2015年から矢野経済研究所の客員研究員を兼ねている。
内容紹介
目次
はじめに
第1章 光とは何…?
1. 偏光とは何…?
2. 偏光板を理解するための光の性質
2.1 光が二地点間を最短時間で進むということはどういうことか?
2.2 媒質の雰囲気が密に詰まったところ(屈折率が大きいところ)では光の進行速度が遅く,
疎なところ(屈折率の小さいところ)では光の進行速度が速いとはどういうことか?
2.3 物体に光が入射したときの光の進行
2.4 太陽光は何色ですか?
2.5 その他の光の重要な性質
2.6 光の色と物体の色は同じか?異なるのか?
3. 自然界の中の偏光
3.1 方解石や水晶の複屈折
3.2 水面や地表面からの反射光
3.3 ガラス面からの反射光と鏡からの反射光は同じか?
3.4 ミツバチの眼
第2章 偏光板とは何…?
1. 偏光板とは何…?
2. 偏光板の仕組み
3. どんな偏光板が良いのだろう?
4. 偏光板の作り方
4.1 偏光板の作り方の概要
4.2 偏光板の工業的な作り方
4.2.1 偏光板の代表的な構造
4.2.2 偏光板の工業的な作り方を工程別に見る
4.3 偏光板の反応図
5. 偏光板の性能はどのように表すのだろう
5.1 透過率と偏光度の表し方
5.2 色相(偏光板の色目)の表し方
6. 偏光板に使われる材料について
6.1 高分子フィルムの製造方法
6.2 PVAフィルム
6.3 TACフィルム
6.4 PETフィルム
第3章 偏光板へのいろいろな要求
1. 理想の偏光板を求めて
1.1 理想的な偏光板の光学性能
1.2 偏光板内のヨウ素種について
1.3 理想的な偏光板を得るための方法
1.4 反射型偏光板とは何だろう?
2. 見やすい偏光板を求めて
2.1 偏光板の表面処理の必要性
2.2 偏光板のAG処理(防眩処理)とは何…?
2.3 AR(無反射)処理とは何…?
3. 用途に応じた偏光板を求めて
3.1 偏光板の種類(分類)について
3.2 円偏光板とは?
3.3 染料系偏光板とは?
3.3.1 染料系偏光板の種類と特徴
3.3.2 バイオレット系偏光板
3.3.3 プロジェクター用のカラー偏光板
3.3.4 高耐久ニュートラルグレイ染料系偏光板
第4章 位相差板とは何…?
1. 偏光板と組み合わせて使うと便利なもの
1.1 位相差板とは…?
1.2 位相差板と偏光板を組み合わせると…
1.3 位相差板が世の中に広まったのは何故?
1.4 位相差板の中で光はどうなるのか?
1.5 位相差板はどんな用途に使われるのだろうか?
2. 位相差板の種類と作り方
2.1 位相差板の物性の表示
2.2 位相差板の作り方Ⅰ:高分子フィルムを延伸法する方法
2.3 位相差板の作り方Ⅱ:位相差を有する透明な物質(複屈折物質)を高分子フィルム上にコーティングする方法
3. どんな位相差板が良いのだろうか?
3.1 位相差板に要求される特性は何だろう?
3.2 位相差板の特性を上げるための方法とは…?
3.3 好ましいLCD用の位相差板とは…?
第5章 偏光板や位相差板は何に使われるのか?
1. 偏光板や位相差板の役割
2. 生活の中での利用
2.1 光量調整や光学フィルターの用途
2.2 反射光をカットする用途
2.3 立体映画(3D)用途
2.4 干渉発色を応用した用途
3. 液晶表示装置(LCD)への利用
3.1 偏光板と位相差板の役割
3.2 着色表示を白黒表示に転換させる位相差板
3.3 視野角を向上させる位相差板
3.3.1 STN型LCD用の位相差板
3.3.2 TN型LCD用位相差板
3.3.3 液晶テレビを目的として開発された液晶表示装置
3.3.4 VA型LCD用位相差板
3.3.5 IPS型LCD用位相差板
4. 円偏光板の応用
4.1 (半透過)反射型LCD用途
4.2 タッチパネルと有機EL(OLED)用途
4.3 その他
第6章 【応用編】液晶表示装置(LCD)をより良くするために偏光板と
位相差板以外に必要なものは何…?
1. 粘着剤
1.1 粘着剤とは何…?
1.2 粘着剤に必要な特性とは…?
1.3 粘着剤の構成成分
1.4 粘着剤の耐久性試験方法について
2. ガラス板
3. ガラス板の外側にあるもの
3.1 光源
3.2 導光板と拡散板
3.3 集光フィルム(プリズムフィルム)
4. ガラス板の内側に存在するもの
4.1 液晶材料
4.2 カラーフィルター
4.3 配向膜
4.4 透明電極
おわりに